こわいくさ

立春を過ぎて数日-
春の初めとは言うものの
寒さは依然厳しいままでいます。
それでも畑では様々な植物が芽生えて
一生懸命に生きる事に余念がありません。
僕の貸農園でもホトケノザやナズナが
至る所で生まれています。
雑草と呼ばれる事もある植物もありますが、決して悪さをする存在ではありません。
土壌の状態を示し、そしてその地の回復の手助けをする存在なのです。
そんな植物ですが中には危険な植物もいます。
人の健康を害するだけでなく時に死に至らしめる草。
そしてそんな植物は驚く事に道端や畑等
様々な所で目にする草と一緒に生えていたりもするのです。
今日、敷地内を歩いていた時にそんな植物を見かけました。
枯れてはいますがヒロハフウリンホオズキという植物です。
アルカロイドという毒成分を有しており
口にすると腹痛を引き起こします。
摂取量によっては命に係わる事もあるそうです。
この他にもこんな植物を見つけました。
セイタカアワダチソウです。
ヒロハフウリンホオズキと比べて毒性は低いものの
他の植物の成長を阻害する成分を有しているので油断はできません。
植物はただ土から芽生えるだけではありません。
土やその場所の状態を示す指標ともなります。
そして時にナズナやハハコグサのように
人間たちや動物たちの命を繋ぐ役割をも持ちます。
農作業に従事する人たちにとって草を観察するという行為は
病気にかかりにくい野菜を育てる方法の一つにも成り得るのです。
役に立たないとないがしろにする事はできません。
それと同時に植物を調べるという事は
毒性について調べるという事でもあります。
すべての植物が僕たちに恩恵だけを与えるという事はありません。
時として僕たちやその他の生き物に牙をむく事もあるのです。
自然を支える植物たちの力の優しさと厳しさに
畏怖の念を抱きながらも寄り添って生きてゆく。
それが僕たちにとって決して忘れてはいけない事の一つだと
僕は強く思わずにはいられないのです。
都筑 治