春の準備は「筋肉痛」から。不耕起栽培を守る、畔職人の道のり

心地よい風、暖かな日差し。
冬眠から目覚めた生き物や、寒さに耐え抜いた木々の歓びが聞こえてくるような季節になりました。
本社のビオトープにある桜も、開花はもう目前。
「来月にはきれいな花が見られるかな?」なんて、今はまだ、のんびり春を待ちわびる余裕があります。

……ただし、そんな余裕も3月末まで。
4月からは怒涛の忙しさが私たちを引きずり込もうと待ち構えています。
「じゃあ、稲作をしていない冬の間は何をしてたの?休んでた?」
そんな疑問が頭に浮かび、気になる方もいるのでは( ;∀;)
断じて、仕事をさぼって冬眠していたわけではありません!
実は、来るシーズンに向けて、「超地味、かつ超ハード」な重要なミッションを黙々とこなしていたのです。
それは、【畔板(あぜいた)打ち込み】

田んぼの「生命線」を人力で守る
田んぼを囲む小さな土手、それが「畔(あぜ)」。
大切な水をせき止める、お米作りに欠かせない「超重要なインフラ」です。
通常、このメンテナンスには「畔塗り機」という機械を使いますが、私たちのこだわりでもある【不耕起栽培】の田んぼでは、機械は使いません。
機械を使用すると土を大きく削ることになり、そこに住む大切な微生物の生態を壊す恐れがあるからです。
そこで活躍してもらうのが、一人一人の力。
丈夫な畔板(40㎝✕120㎝)を、1枚1枚、丁寧に人の手で設置していきます。
1.掘る:差し込みやすいように設置場所を掘る
2.叩く:木槌で土の中に10㎝ほど打ち込む。
3.繋ぐ:板の端をピタッとつなぎ合わせる。
4.整える:まっすぐ設置できれば完了(カーブするところ曲げて施工)
文字にするとシンプルですが、これが想像以上に過酷です。
何回も、何百回も木槌を振り下ろすので、腕はパンパン(;´д`)
翌日は、間違いなく筋肉痛が襲ってきます。
時には勢い余って自分の膝を叩いてしまい、「青たん」ができることも・…・。
それでも、叩く・叩く叩く!
ここで妥協すると、水を張った時に板がゆがんで水漏れの原因になってしまいます。
「体力・パワー・集中力」を総動員した、まさに畔板職人芸と言っても過言ではないでしょう。
なぜ、ここまでやるか?
苦労して設置した真っすぐな畔板。そこには大きな意味があります。
一つは、「水不足への備え」。
近年の猛暑による水不足で、取水制限がかかることも予想されます。
一滴の水も無駄にしないためにも「止水」対策は、命綱なのです。
もう一つは、「雑草ブロック」。
暖かくなると、畔から田んぼの中へ雑草が侵入しようとしますが、この板が防波堤になってくれます。
ここで頑張っておけば、後の「草引き」が楽になることでしょう。
ピンとまっすぐに張られた畦板と美しいあぜ道。
これで不耕起栽培の水漏れ対策も「ベリーグット(Very Good)」。
「冬の間、さぼってなくてよかった(*´з`)」
そう胸を張って言えるほど、田んぼのメンテナンスはOK。
今年も安心して田植えを迎えられるのは、この「地味で熱い冬の作業」があったからこそ。
さあ、4月は満開の桜を楽しんだら、全力疾走(Let’sショータイム)
byさかた