くさのきもち~朽ちて巡る命~
暑さが少しずつ増してきた今日この頃。
田んぼはもう苗の色に染まってきました。
田んぼはもちろんの事、畑の方も草刈りに追われています。
稲作が主な作業になるので他の作業が入る事は滅多にありません。
けれども稀に畑の草刈り作業に入る事もあります。
農薬を使わない事を前提に進められる農作業。
それ故に他の畑ではなかなか見られない草と出会う事もあります。
今回はその畑に生えている草の話をしましょう。
本社の中には畑があります。
自然農に取り組んでいる畑なので、農薬を使う事もなく
刈り取った草も畝の上に敷いてマルチ資材として用います。
ヒエ等の草もありますが、変わった草に巡り合う事も少なくありません。
ブタナの幼苗です。
美しいロゼッタ模様の苗から可愛らしい花が咲きます。
この子も刈り取るのが普通なのですが、ここでは刈り取りません。
花が見れるのであればそのまま置いておくのも悪くはないでしょう。
草の根を抜かないように手と鎌で草をかき分けて進みます。
大変ではありますが、余分に新しい草を生やさない為に
茎を根本すれすれに刈り取ります。
すると今度はより珍しい草と出会いました。
御形(ごぎょう)ですね。
母子草とも呼びます。
春の七草の一つで、邪気を払う力を秘めていると言われています。
生薬としても使われる事があるのだとか。
鮮やかなレンゲの花と相まって
みずみずしささえも感じられます。
畑には様々な草が生えていて面白いのですが
田んぼにも目を引くような草はあるものです。
カズノコグサでしょうか。
穂先に付いた実が愛らしく映ります。
害はないが利益も生み出さない雑草。
そう言ってしまえばそこまでですが、この子を見ていると元気になれます。
農家に「雑草」と言われ忌み嫌われる草たち。
中には作物の生育を邪魔する草はあるものの、草たちも生きています。
刈り取ったとしても新しい命を繋げる橋の一つとなってくれるのです。
そんな草たちの事をたまには優しく見守ってあげてもいいんじゃないか。
そう思う時もあるのです。
いつの日か草たちと作物の共存が悪い面もあるけれども
良い面もあると知れ渡る事をただ願うばかりです。